Cute Movies
(C)2008 映画「おくりびと」製作委員会
監督:滝田洋二郎/脚本:小山薫堂/音楽:久石 譲
出演:本木雅弘/広末涼子/山﨑 努/余貴美子/吉行和子/笹野高史
今年、桜の季節の前に一足早くこの作品を見せてもらった。以来、本年度ベストワンとなる作品は既にこの作品しかないと密かに決めていた。
ここにはCGも、大がかりな仕掛けも目を見張るアクションもスケールの大きさもない。あるのはただ人間の“死"、地味なテーマだ。
主人公は納棺師と呼ばれる“遺体"を棺に収める人。地味だ。しかしそんな地味なモチーフを日本映画の“良心"滝田洋二郎監督はペーソス溢れるユーモアを散りばめながら第一級のエンターテイメントに仕上げてしまった! 主人公の大悟(本木雅弘)は東京でリストラに遭い妻(広末涼子)と共に故郷で生活しようと山形へやってくる。しかし、生計を立てるほどの職は皆無。ひょんなことで納棺師となってしまう……。
とにかく大悟を演じるモックンが素晴らしい! 故人の肌を遺族に見せぬよう白装束に着替えを行い死に化粧を施し旅立ちの準備を整える。遺体への愛おしさ、死に対する真摯な態度。大悟の所作のすべてが美しく、荘厳だ。
とにかく多くの人々に見てほしい。そして感じてほしい。命の尊さと、生きていることの素晴らしさを!
text by... 茶柱達蔵
2008/09/30